健康経営への取り組みを考えるにあたって、成功事例や、取り組みの手順を確認することは非常に大切です。
なぜなら、健康経営の歴史はまだまだ浅く、感覚に頼った取り組みでは成功する確率が非常に低く、再現性もありません。
しかし、健康経営を視野にいれた経営は評価されるべき素晴らしいことです。
そもそも健康経営とは、従業員の健康を経営的な視点で捉え、その改善に取り組むことです。
従業員のモチベーションアップや、生産性の向上、身体的、精神的な健康を考えることで企業の成長に大きく貢献します。
今回の記事では、健康経営を目指す経営者の方に向けて、様々な成功事例と健康経営を導入する手順を紹介します。
健康経営とは?わかりやすく解説!
健康経営とは、従業員の身体的、精神的健康を経営視点で捉え、その改善に取り組む経営手法を指します。
健康経営を分かりやすく言うと”「働いている人が健康なら会社も売り上げ上がるよね!」という考え方をもって経営すること”です。
つまり、ただ健康促進するだけでは健康経営とは言えず、企業の成長、業務の生産性向上に寄与していなければいけないということです。
近年、多くの企業が健康経営への取り組みを検討していますが、残念ながら本幹を理解して取り組んでいる企業は一握りです。
ですので、今の内から正しい健康経営に取り組むことで、健康経営の先行者にもなります。
健康経営の取り組みは、企業の社会的責任(CSR)の一環ともいえる価値の高い取り組みです。
健康経営の取り組み手順を7ステップで解説
健康経営に取り組むための具体的な手順、ステップは、まず自社の健康課題を見つけ出し、その解決に向けた目標を設定することから始まります。
次に、その目標達成のための具体的な行動計画を立て、その実行に取り組むことが求められます。
この過程で、従業員の健康状態を定期的にチェックし、必要に応じて計画を見直すことも重要です。
本章では、ステップごとの解説をしていきます。
①自社の健康課題を見つける
健康経営を検討しているということは、少なからず健康経営に関する課題、解決したい悩みがあるはずです。
その課題を更に深掘りし、健康経営に関する課題を明確にしておきましょう。
何度も見返せるよう、スプレッドシートなどにまとめておき、随時確認できるようにしておくとスムーズです。
②目的を含めた基本的な情報をまとめる
健康経営に取り組むにあたって、目的をはっきりと定めておく必要があります。
- なぜ健康経営に取り組むのか?
- 取り組むことでどのような状態になることを目的としているのか?
- 取り組む担当者、プロジェクトチームの発足
- 長期的にどのように展開し、進めていくのか?
上記を明確に設定します。
とはいえ、上記に時間をかけすぎて、スタートを切れないと本末転倒です。
後からいくらでも変更はできますので、大枠だけでもサクッと決めて、徐々に詰めていくのがよいでしょう。
③健康経営に取り組む意思を表明する
上記でまとめた健康経営に取り組むことになった背景、目的、基本情報をもって、社内全体に表明を行います。
要は、「我が社は健康経営に取り組みます!」と、お知らせするのです。
ここで、従業員に「ただ表明しただけ」「どうせ何も変わらない」「私には関係ない」と思われてしまうと今後に大きく影響します。
なるべく社内トップによる本気度の高い宣言、表明が必要です。
そして、健康経営に取り組むことでどのように従業員に還元されるのか、メリットがあるのかを伝えましょう。
④健康経営に取り組む体制を整える
健康経営に取り組むためのチームを整えます。
新たにプロジェクトチームを発足する必要も出てきますし、専門家に依頼する必要も出てくるかもしれません。
ここで登場するのが、私のような「健康経営アドバイザー」などの専門家です。
健康経営のことを熟知した担当者、外部委託の専門家を交えることで、明確に健康経営の取り組みが進んでいきます。
担当者に上記資格の取得を促すのもよいでしょう。
【関連記事】「健康経営アドバイザー」について:東京商工会議所
⑤健康課題を分析し、明確にする
健康経営に取り組むにあたって、はじめに抽出した課題を分析します。
また、以下の項目は確認の必要性が非常に高いのでチェックしておくことをおすすめします。
- 健康診断
- ストレスチェックの実施の有無、結果
- 労働時間、残業時間の確認と見直し
- 求職者、離職者、退職者の推移の確認
全てを一気に解決するのは困難です。
優先順位をつけて、長い目で解決していきましょう。
⑥決まった取り組み内容を実行する
課題と取り組みが明確になったら、あとは実行です。
健康経営の取り組みは細分化していくと、「メタボの解消」や「謎の体調不良の解消」「食事の改善」など、原因追及や改善自体が困難なものが多いのが現状です。
一般的には、メールなどを用いた連絡共有や、社内ポスター掲示での認知などにとどまってしまうことが多いでしょう。
最近ではアプリを活用する企業も多いようですが、ダウンロードだけして特に活用していないケースもざらです。
筆者の経験では、オフライン(対面)での運動指導や健康指導、栄養指導の方が従業員の意識の向上や取り組みに対する寄与が大きいと感じています。
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⑦健康経営の取り組みの評価を行い、改善を繰り返す
健康経営の取り組みがスタートしたら、都度評価を行い、改善点があれば修正していきます。
もちろんうまくいってるときは更によくなるようポジティブな働きかけが有効です。
タイミングとしては月に1度くらいの頻度で問題ありません。
社内でも掲示し、従業員含めた全員で、取り組みに対して賞賛しましょう。
健康経営の取り組み:成功事例
健康経営の取り組みの手順を確認したところで、いくつかの事例をみていきましょう。
富士フイルムホールディングス株式会社やオムロン株式会社など、大規模な企業だけでなく、中小企業でも健康経営に取り組む事例が増えています。
これらの企業は、従業員の健康を経営の一部として捉え、その改善に取り組むことで、企業全体の生産性向上やモチベーション向上を実現しています。
健康経営事例:富士フイルム ホールディングス株式会社
富士フイルム ホールディングス株式会社では、健康経営を重要な経営指針として捉え、2030年をターゲットにした中長期の取り組みを開始しています。
主な取り組みとして
- 生活習慣病対策
- がん対策
- 喫煙対策
- メンタルヘルス対策
- 長時間労働対策
- 女性の健康課題
などなど幅広く活動し、グループ全体で健康経営を推し進めています。
詳しくは富士フイルム公式ページをご覧ください。
参考:富士フイルム ホールディングス株式会社「健康経営の促進」
健康経営事例:オムロン株式会社
オムロン株式会社では、「従業員の健康から社会の健康へ」と掲げグループ全体で健康経営に取り組んでいます。
健康経営に取り組むにあたって、健康経営推進グループを発足し、年度目標の策定をし、経営戦略会議にて承認しつつ進めています。
重点課題として、「ゼロイベントの実現」「フィジカルヘルス」「メンタルヘルス」の3つを掲げ、重症化予防と健康増進予防の側面で捉えています。
詳細は、公式ページをご覧ください。
参考:オムロン株式会社「健康経営」
経済産業省発行の健康経営の取り組み事例集
令和2年3月に発行された、経済産業省が公開している健康経営優良法人の取り組み事例集を紹介します。
引用:経済産業省:健康経営優良法人「取り組み事例集」
上記の事例は、健康経営に取り組む企業の参考となるもので、具体的な取り組み内容やその効果について詳しく解説されています。
ぜひ参考にしてください。
協会けんぽ発行の中小企業の健康経営事例集
協会けんぽからも、中小企業の健康経営の取り組みをまとめた事例集が発行されています。
引用:教会けんぽ「中小企業の健康経営取り組み事例集」
全10ページと見やすい作りですので、こちらもぜひ参考にしてください。
健康経営の効果とは?
健康経営に取り組むことで、従業員の健康状態が改善され、その結果、生産性が向上し、企業の成長を促進することが期待できます。
上記のような額面上の効果ももちろんありますが、シンプルに従業員同士の接点の増加による社内の雰囲気の改善や、一人ひとりの明るくなった表情などが何よりの効果だと感じます。
会社のために働く従業員の健康を考えること自体、良い経営者が取りまとめる企業であることは明確ですし、従業員もそれに応えようと奮闘するでしょう。
こうして、社内の良い雰囲気が作られ、結果、業績に繋がり売上UPに貢献するのです。
まとめ:健康経営で企業を変える!成功した取り組み事例と導入手順を7ステップで解説!
健康経営の取り組みは、企業の成長に欠かせない非常に大切な要素の1つです。
しかし、それ以上に働く従業員の身体的、精神的な健康はかけがえのないものです。
従業員のためを思う健康経営も、会社の数字のために行う健康経営もどちらも重要で、どちらもないがしろにできない要素です。
中小企業から大手企業まで取り組んでいる健康経営に乗り遅れないよう、ぜひ長期目線での取り組みを開始してください。
何か不明点や相談があればぜひお問い合わせくださいませ。